副腎機能障害と治療 National Institution of Health編集


この文章は診療所のスタッフにより、副腎機能障害(AI)とその治療について、患者さんの理解を深める為に書かれたものです。副腎機能障害(AI)の原因や、どの様に治療するかを説明しています。もし、適切に治療がされなかったなら、副腎機能障害(AI)により重篤な病に陥り、死にいたる事もあります。しかし、医師や看護婦の助けを借りて副腎機能障害(AI)について学べば、対応する事が出来ます。 


副腎とは?
体の中には2つの副腎があります。各々の副腎は、腎臓の上部に位置しています。副腎は体を維持する働きをする多くのホルモンを分泌します。副腎機能障害(AI)を持つ患者は、コルチゾルやアルドステロン等のホルモンが不足しています。 コルチゾルは糖類と蛋白質をエネルギーに変換し、(病気や手術など)感染やストレスから回復する助けをします。 アルドステロンは体内の塩分や、カリウム、水分量を保つ働きがあります。


 副腎機能障害とはなんですか?
副腎機能障害はコルチゾルが不足している事を意味し、また、アルドステロンの値が低下している事も意味します。これらのホルモンが不足すると、体の機能を維持する事が出来なくなります。

副腎機能障害は一時的なこともあり、また、不治となる事もあります。もし、副腎機能障害が治らない状態なら、治療は一生涯続ける必要があります。一生治らない場合の原因は、
アジソン病
先天性副腎(皮質)過形成(CAH)
手術により脳下垂体を切除した場合
手術により副腎を切除した場合

一時的副腎機能障害は、不適切な投薬治療や、感染、手術等によって起こります。
原因は、
クッシング患者の脳下垂体から腫瘍を摘出する為に、経ちょう形骨手術を行います。
腫瘍の摘出により、脳下垂体からコルチゾルが過度に作られるようになる。
クッシング症候群の投薬治療により、コルチゾルレベルが減少する。
投薬治療によるステロイド投与が長期にわたる。


副腎機能障害の症状や徴候は?
もし、必須の生活機能が副腎皮質ホルモンの欠乏により危険にさらされるなら、あまりよい気分はしないでしょう。症状には次のようなものがあります。
普段と違う疲労や倦怠感
立ち上がった時の目まい
むかつき、吐き気、下痢
食欲減退
腹痛
関節の痛みやうづき
長期にわたって、次のような症状が表れます。
体重減少
皮膚が黒づむ
塩分が欲しくなる
もし、これらの症状が現れたら、副腎機能障害を疑って、医師に診てもらいましょう。


副腎機能障害(AI)の治療に用いる薬は?
副腎機能障害を治療するには、減少しているホルモンを補う薬が毎日必要となります。この薬剤は錠剤で、医師により処方された量と時間に服用する必要があります。多くの薬がコルチゾルの作用をします。例えば
グルコ糖酸 NIH(National Institue of Health)では、加水コルチゾルや、デキサメタゾン、また、プレドニゾンが推奨されます。 1日数回服用し、服用の際は注意書きを読んで下さい。もし、アルドステロンが不足している場合は、塩分と体液を適正に保つ事が出来なくなっています。アルドステロンの代わりに、フルドロコルチゾン(Florinef)を服用する必要があります。大人はFlorinefの錠剤を飲みますが、子供はFlorinefを砕いて水に溶かして飲みます。時に、塩の錠剤も飲みます。


これらの薬剤の副作用は?
ヒドロコルチゾンには副作用がありません。しかしながら、時々腹痛が起こります。この時は、食事と一緒に薬を飲んで下さい。それ以外の症状が出た時は医師に相談して下さい。薬の量が多すぎる時は、体重が増え、クッシングの症状が表れます。


気分がすぐれない時は、どうしたらいいでしょう?

気分がすぐれない時や、病気の時は、決められた量の薬を、処方通りの時間毎に飲みましょう。病気が3日以上続く時は、病院に行きましょう。ヒドロコルチゾンの量が足りないと思った時も、病院に行きましょう。発熱(38度以上)、感染、手術、嘔吐、下痢など、体がストレス状態にある時は脳下垂体から多量のヒドロコルチゾンが放出されます。病気になると脱水状態になったり、低血糖症になるのを避けるために砂糖水や食塩水を飲む事が重要です。

副腎機能障害であるという事は、作られるコルチゾルが少ないので、これらのストレスに対応する事が出来ないという事を示しています。コルチゾルが不足していて、補うための錠剤を飲む時は、糖質コルチコイドについても、錠剤や注射をします。発熱(38度以上)、感染、手術、嘔吐、下痢など、糖質コルチコイドを補給しないといけないような病気になった時は、直ぐに病院に行きましょう。


病状が重い時の薬は?
症状が重くて吐いたりするので、薬を飲む事が出来ない場合は、糖質コルチコイドを注射することが可能です。御自身かそばにいる人が、注射する方法を習得する必要があります。


症状が改善したら薬はどうしたら良いでしょう?
病状が回復し、熱、吐き気、下痢が無くなったら、通常の量の薬を飲むようにします。詳細は医師にご相談下さい。


注射のやり方は?
注射用の糖質コルチコイドは筋肉注射を行います。自分で筋肉注射をする時は、利き腕と同じ側の太ももの筋肉に注射するのが最も簡単です。大人の場合は注射薬を持ち歩いて下さい。子供の場合は、親、若しくは保護者が注射薬を所持して下さい。子供が学校に行っている場合は、学校の保健婦が子供の病状を理解し、糖質コルチコイドの注射薬を保管しておくなど、緊急時の処置が出来るようにして置いて下さい。


ヒドロコルチゾンの注射手順

ヒドロコルチゾンの注射手順

1. 手を洗います。

2. 器具を準備します。

3. 小瓶のコルク栓を下にして振ります。

4. 小瓶の中の薬をよく撹拌します。

5. 小瓶のゴム栓の所をアルコールで拭きます。

6. 注射器の針のキャップを外し、小瓶に射します。

7. 薬を上にし、大人の場合は小瓶全部を注射器に移します。子供の場合の量は医師の指示に従って下さい。

8. 針にキャップをします。

9. 注射する場所を選びます。太ももの半分くらい上の外側が良いでしょう。または、太ももの長さの1/3位上の内側も注射に良い場所です。

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10. アルコールで拭きます。

11. 注射針のキャップを外し、注射器をダーツみたいに持ちます。

12. 親指と人差し指と中指で太ももをつかみます。

 

13. 針を90度の角度で刺します。

14. 注射器をそのままの状態に保ち、プランジャーを少し引いて血管にささってないか確認します。もし、血液が見えたら、戻して違う場所に針を刺します。

15. 注射が終わったら、ガーゼがティッシュを針に充て、針を抜きます。

16. 注射した場所を指で軽くもみます。

17. 注射器と針を、廃棄用箱の中に入れて、捨てます。

 

 



副腎機能障害について、気をつける事は?
副腎機能障害について、自分で管理しましょう。
自分の病気について、知識を身につける事。
毎日、薬を飲む事。
自分は生涯、この病気と付き合っていくという自覚を持ち、自分を大事にすること。
定期的に、健診を受ける事。
常に薬剤アレルギーなどを記載したエンブレムを首から下げておく事。

外科等の治療がある場合は前もって副腎機能障害の診断書を見せておく事。
ここに示した案内書や、看護チームの指示の通りにしたら、一生問題なく生活できます。
自分の体は自分で大切にして下さい。


言葉の解説
アジソン病
副腎がダメになり、副腎ホルモンが少なくなって起こる病気。

副腎
腎臓の上にある1対の器官。コルチゾルや多くのホルモンを出す。

アルドステロン
副腎から出されるホルモンで、体の中の塩分、カリウム、水分の量を調節する。

先天性副腎(皮質)過形成(CAH)
生まれつき副腎ホルモンが欠乏していること。

コルチゾル
副腎から出されるホルモンで、炭水化物やタンパク質の代謝を調節する。

クッシング病
脳下垂体からACTHが過剰に出される事によって起こる病気。クッシング症候群。

クッシング症候群
副腎から過剰のコルチゾルが出されることによって起こる病気。

糖質コルチコイド
副腎皮質から出されるホルモンで、炭水化物やタンパク質、脂肪の代謝を調節し、抗炎症性の特性を持つ。

ヒドロコルチゾン
コルチゾルの一種。体の中のコルチゾルの代替え薬品。

経ちょう形骨手術
脳下垂体の癌を取り除く手術のうちの一つ。